吹奏・打楽器FAQ

一般的に寄せられる御質問へのお答えです。当店としての見解ですので他者との違いは容認しております。
弦楽器FAQでは設問と解答を別ページとしていましたがこちらはアンカリングで御案内します。


Q:良い楽器が欲しいのですが

Q:調整や修理はしてもらえますか

Q:材質による違いは明らかなのですか

Q:長く使う積もりなので良い楽器が欲しいのです

Q:木製管とプラスチック管

Q:潤滑剤の使い方

Q:外で使うことが多いのですが

Q:楽器には寿命があるのでしょうか



Q:良い楽器が欲しいのですが
A:
弦楽器の方でも申し上げておりますが、幾ら良い楽器と分かっていても、値段が張って或いは数がなさ過ぎて等で事実上買えないようでは望む意味もありません。確かに高価な楽器は演奏面を助けてくれる性能を幾つも秘めていて、それは単に木管楽器の材質や孔の数(出る音と指回りのよさが期待出来る)や、金管楽器の管体設計・素材性能(音の荒れが少なくなる期待がある)ばかりではありません。吹奏楽器なら吹込む息への抵抗感の心地よさやそれによる反応の早さ、打楽器なら響きに繋がる音の伸びを得易くなりますが、それらは相応の上級者によって感じとられるものです。最初からそういう楽器が使えればそれはそれで恵まれていると見られますが、楽器を外して考えても音楽活動は節約しようもない金銭面での限界がありますし、最初から良い楽器といわれるものを使ったところで、その性能を感じる迄に相当な期間と習熟が必要ですし、つたない間の練習量はそれが感じられた後の数十倍が必要ですから、そもそも「性能を感じる」迄に「楽器が消耗し尽す」例を頻繁に目にすることから、得易い価格の楽器で充分な習熟を得、その後の自信に応じたレベルの楽器をお求めになることが、賢い倹約をしつつ修得に結び付け結果を出す方法だと考えます。

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Q:調整や修理はしてもらえますか
A:
当然です。但し、管打楽器に関して当店では、その楽器の元の価格に応じた金額で完了する場合とさせて頂きます。これらは弦楽器と異なり、寿命に対する消耗度を考慮する必要があります。寿命感はひと各々です。上級者は音のヌケや追随性が自分に合わなくなったら寿命と判断する場合が多く、修練中や御趣味の人の寿命感とは決定的に違います。管楽器を本格的に突き詰めた人なら、息継ぎが1/5拍遅れてもイントネーションが変わりフレージングが得られなくなるのが分かるだけでなくそれを突き詰めますし、オクターブの伸び上がりや跳躍で到達する音が元より3セント(音階一度の百分比)高いところを狙えなければ疲れてしまうようになっています。でも大多数のアマチュアプレーヤーには、これは何のことか、読み物としては理解出来てもやって表現出来ませんね。こういう場合は、修理代や調整代が、楽器自体の元の価格を越えたり、見合わない額になったりしてまでその楽器に執着する必要はないと考えるためです。
つまり、5万円のクラリネットに対して、5万円の修理代を御請求することを、当店では正当と考えておりません。そういう意味です。

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Q:材質による違いは明らかなのですか
A:
同種の楽器間において、異種の材料同士での違いは、優劣は別として明確にあります。が、自分として体感出来ないうちはそれに惑わされた買い物をすべきではありません。
専ら貴重な材料で出来ていると高価格で、入手も加工も容易な材料で作ると安価になりますが、全くそうはいえないものもあります。
フルートを一例としてあげると、真鍮にニッケルメッキされたものは、音質的には堅めですが立ち上がりがよく、仕上の表面が強いので手が少々汚れていても楽器は汚損を免れます。しかし銀メッキのものは、手の汗や脂で変色しやすく、手入れを充足することを求めます。さらに高額になるとセクション一部または全体が銀で作られますが、音質はまろやかで安定したものになり音量も増すものの強度に欠け、全体的にシビアな息づかいが求められ、さらに重さも増す為体力を要求します。金や木造のものは、全てにシッカリ感がなければ扱えません。
何も高価な材料の楽器が当座の個々に満遍なく良い楽器とは言えないという違いがあるということです。

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Q:長く使う積もりなので良い楽器が欲しいのです
A:
極めて当事者の位置的問題になって来ますが、これから試そうという人が大体において運指や呼吸等と音程音階音量が合致していると考えるのは困難です。そうした音に対する指回りや作音感覚を会得する時点の人が使うと良い楽器は、多少音質や音程音響を犠牲にしても、キイシステムやバルブシステム、胴体本体を丈夫に作られているものです。これらはしっかりつくればいいので作る方も凡そ簡単です。成長して既に指回りや発音は満足な人が使うであろう楽器は、その部分は丈夫というよりむしろ滑らかで操作感を良くし、音程に留意され作られています。さらにそれを越えた人に仕向けた楽器は、加えて発音性や音色、そして音量に重きを置かれていきます。あとになるほど、製作者の技術レベルは高いものとなっていきますので、楽器の価格は高騰します。製作時間が同じでも、高い技術は高価で、また繊細に仕上げられた最終性能はその後のメンテナンスや演奏法自体にも質のよさを要求して来ます。
弦楽器と管打楽器の決定的な違いは、調整で性能が出せる部分は動かす部分の動きだけで、機能的な性能は製品に依存し、消耗性も高いのです。バイオリンなら初心者が名オールドバイオリンを買って習いはじめても、「買えたから」と打算的に見ることが出来ますが、管打楽器は初心者がプロユースの楽器を求めるべきでないというのにはこういう訳があるのです。上手になった頃には、高価なその楽器は大修理を必要とするか或いは寿命をとうに過ぎた辺り迄大抵消耗し尽されてしまいます。
材質の違いは金額の高低に繋がりますが、それが意図しているのは単純に価格だけの問題ではなく、ダブルリード楽器に見られる単純化されたキイシステムも、安くつける為ばかりでなく、そのほうがむしろ修得には益とみるものでもあります。
また、楽器を使っていると演奏以外にも覚えねばならないことは多くあります。身体ばかりでなく楽器も不調を訴えるものです。それに対処していく方法も、将来演奏シーンを広げ、知己の店鋪等を利用出来ない環境に身を置く際には必要となる技術です。言葉も通じないところで、楽器が割れた、バルブが軋むといって演奏出来ませんでは、折角の修練を披露する場所が、時として国や地域や大陸といったレベルで失われるかも知れないのです。しかしそういう方法を、いきなり繊細な上級品で何とかしようとするのは無謀というものです。あっちをばらしてこっちをつついてという経験を積ませてくれるのは、やはり手頃なエントリーモデルでしょう。いいものばかりを追い求めてばかりいて、いい経験をおざなりにするのは少し残念です。

見る方向を変えてみましょう。もし、皆でハイエンドモデルばかりを買い求めたとします。するとたちまち、楽器そのものが作れなくなってしまうかもしれないのです。上級者になるには、演奏も製作も似たように習熟期間を必要とします。けだし製作に関しては演奏以上に長い時間が掛かるものです。またこの習熟には労働体系に身をおける必要も同時にありますから、間違っても5才の時から製作を学ぶ訳にはいかないのです。作り方を知る程度なら別ですが、頂点の演奏に応えるものへの技術を学ぶには、楽器製作労働に従事出来る年令乃ち最低でも日本では16才以上でなければならず、全てはそこから始まる為、そういうレベルの製作技術に及第する年令は45才かそこらになり、既に定年間近になっているのです。最初からそんな人が作るものばかり買われてしまっては、修練者である若い労働者の製品は要らぬものとなり、誰も育てようとしなくなり、結果楽器は無くなるのです。
もしあなたがエントリーモデルを買ったなら、将来あなたが上手になった時にハイエンドモデルを求められる環境をつくるための投資をひとつしたことになるでしょう。

管楽器は常に息の湿気にあてられ、激しく動く部分もあり、打楽器は打撃を続けられるもの。案外長持ちはしませんが、楽器に接し続けているとやがてはきっと良い楽器へと辿り着きますよ。長く使うより長く学ぶ今に丁度良いお買い物を是非。

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Q:木管楽器、木製とプラスチック製ではやはり木製がいいのでしょうか

A:
 クラリネットやオーボエ、リコーダーには、木製のほうがいいものとしての定説めいたものがあり、いつも買手にプレッシャーをかけます。
 諸論あり、どれも正しいのですが、楽器メーカー・楽器店の見解としては、安い木製よりちゃんとしたプラスチック製のほうが性能的に安定していて当たり外れもなく安心して音楽が出来ます。
 木材は全てが同じではなく、原木を製材した時点で良材と普及材に選定して養生・加工の後また選別し甲乙付けてグレードを分けていきます。このうち加工賃というのは素材の上下に関係なく大差ありませんが、選別や養生期間には技術・経験・設備・期間に応じた金利負担という負荷があるため、大幅に付加価値が与えられることになります。専ら木材でも最低ランクのものが、教育向けプラスチック管と同等乃至はそのハイグレード版として使われます。この場合は、高級機種と同等の養生期間は与えられない為、質的にまだ不安定な素材といわざるを得ません。管が割れ易かったり、変型でキイの動作の不具合を得たりする可能性がないともいえず、時にはジョイントが抜けなくなったり入らなくなったりすることがあります。プラスチック管にはその心配はありません。音質に就いても、プラスチックなら当たり外れなく、ピッチも安定していて、例えば3個並んでいたらその3個とも同じ性能である期待が持てます。プラスチックは汚れにもとても強く、キイをばらしてしまって水洗いするというのも手入れのひとつで、いつまでもきれいに使えますから、音楽をやる為に作られた場所がなく、またその為だけに時間を使えない人にとってはとても扱い易く安全な楽器となり得るものです。
 プラスチック管の問題として回避出来ないものに、意外ですが耐久性が上げられます。プラスチックは加工時の傷からヒビが発生し易い為、特に音孔やジョイントの部分が弱いのです。横からの強い力が掛かると、木材なら粘って助かるところ、プラスチックならバキッと折れてしまったりするのですが、これまたそれが修理不能な為、事故には弱いと言わざるを得ません。また木管楽器は押し並べてそうなのですが、プラスチックは温度による変化を特に現わします。高温夏期はやたら高く低温冬期はやたらと低いと感じることはしばしばです。特に冬には充分楽器が暖まっていないと演奏中にどんどんピッチが上がっていく為、プラ管奏者は上ずり易いといわれることになるのです。製造者はそのことは充分把握していて、温度による音程変化を、予め低めに作っておくことで回避するようつとめていますから、途中で高いと思ったら、クラリネットならバレルを抜けばいいのです。オーボエは木製管でもそういう変化はありますので元からリードは高め低め、鳴り目こもり目等工夫して揃えておかねばならないものなのでこの辺りで悩むのは論外となります。
 加工に関して言うとプラスチック管は専ら木製管より難しく工業力が必要なので、全てのメーカーがこれを揃えている訳ではありません。完全手工のメーカーにはプラスチック管は作れない訳です。時として木管よりプラスチック管が高いものに出会いますが、それはシステムの違いだけではなく、工業力の違いでもあるのです。
 こうした理由から、どちらがいいというより、どちらが必要かで選ぶ方が適当です。
 しかしながら、これらはある特定の音楽的レベル迄に言えることで、一線を超え達するべき高みを得たら、時代で最高のものを追い求めて頂かねばならなくなります。昇り詰めた人なら、何を使っても泣かせますが、これこそ弘法筆を選ばずというところ、良いものを使えばその良さを、それなりのものでも見せどころを活かし作品に出来る。そういうもんです。

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Q:潤滑剤の使い方は?

A:
 いろいろな種類のオイルがあります。金管楽器のスライドやバルブ、木管楽器のキイやジョイント、何れも潤滑を必要とする箇所です。どの部分に使う潤滑剤にも共通して課せられる役割は、案外滑りのことより汚損を防ぐことだったりするのです。
 金管楽器は主に真鍮で作られています。木管でもフルートやサクソフォンは真鍮です。管を繋いでいる場所はメッキ等されず生の素材がむき出しになっています。ここは常に酸化が進行する場所で、真鍮は銅特有の緑青が発生します。どんなに上質のオイルを使ってもこれを制止することは出来ませんが、定着させない性能が必要なのです。バルブやキイの作動部分に使うオイルには、潤滑性能の他に同じく清浄効果を期待しています。
 管が分かれ、ジョイント部分にコルク等が巻いてある木管楽器の場合、それらが汚損しないよう汚れを浮かせる役割をジョイントグリスが担います。
 何れの場合も、必要以上にべたべたに使うと支障が出ますが、より使わない方向でケチリ過ぎると使用中に発生する汚れを浮遊させ切れず、その後の手入れが難しくなってしまいます。フルートのジョイントにグリスを使いたがらない人も多いのですが、長くオイル切れの状態で用いると接合部の酸化発生物質がやすりのように接合面を削り、当初は接合がきつくなり、やがては接合がガバガバになって要修理という状態になりますし、金管楽器では長いスライドが抜差し出来なくなり、バルブが偏磨耗し引っ掛かるようになりますし、クラリネット等木管ではコルクの寿命が短くなります。
 楽器の部位によって使う油は異なりますが、何れにも、スムースに動き汚れや錆が定着しない程度の注油・塗脂は常に必要です。オーボエのリードチューブにグリスをしないで脱着していて、突然ソケットごと抜けてしまったなんてトラブルにはよく出会いますから、案外潤滑不要な箇所はないと考えて良いでしょう。
 油の必要なところは同時に手入れも必要な場所です。油の究極の役割は、手入れの時に汚れを効率良く浮かせて処理させることですので、油をする箇所は必ず再び分解・清掃するところだと理解しておいて下さい。褶動するトロンボーンのスライドや、バルブのある楽器のそれらは勿論、サクソフォンやクラリネット、オーボエのキイシャフトも、常に分解清掃を要求している場所です。幾ら性能のいいオイルがよく汚れや錆を浮かせてくれていても、それを全く取り除いてやらないのではやがてキシレや磨耗によるガタを起こしてしまいます。金管のスライドやバルブは月に一度、木管のキイシャフトは最低半年に一度は分解清掃の必要がありますが、この作業をまともに終らせてくれるのが、またオイル類の役割でもあり、保守上重大な使命なのです。

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Q:楽器には寿命があるのでしょうか

A:
 一口に寿命といいますが、いろいろな意味があるのです。
ぱっと思い付くのは、すり減ったりして物理的に使えなくなることです。始めに申し上げますが、これは楽器に関しては、通常ない、乃至はあるべき姿ではないのです。楽器は使い乍ら手入れされるべきもので、使えなくなる程「損傷」させる行いは大体楽器を使う態度ではありません。ここで、先ず物理損耗による劣化が齎す寿命はないことになります。
 それでは、何が寿命と言わせるのでしょうか。
食べ物や薬では「有効期限」という表示をされることがあります。この場合は化学的な根拠によって、製造者が変質を容認する期限を予め開発の中で求めている数字です。
 実は音楽にはこれがあります。
学術的な論拠には頼れませんが、時代の風情に照らしていけば、「今」風か「過去」的かという、流行にも似た移り変わりが楽器を容認しなくなることが、実際あります。
 一番に楽器が晒されるのは環境の変化です。これは人に由り様々です。
一人で習得することを楽しみにしている人の楽器は、先ずこれに直面することは有り得ません。これは、演奏する場所がだんだん大きくなったりすることで、楽器の音色や音量が適当ではなくなり、何等か他の方法を考えなければならないことです。ジャズやポピュラーでは、電気的に増幅するケースも出て来る演奏場所の大型広大化ですが、ナマ音を欲しがるクラシックでは楽器自体の性能でカバーするしかありません。この環境に至った奏者は、慣れた楽器を替えることより先ず努力しますが、楽器の性能が努力を受入れないと、止むなく持ち替えとなっていきます。昨今は、世界中のホールというホールが大型化、しかも音響学が建築工学・材料工学と充分結合して、残響を極めて適正化されるに至り、音が通る・届く楽器への要求が高まっています。但し、そういう楽器は専ら演奏が大変です。しかし、常時業務に就く場所がそういうところばかりになった人は、それに合わせて道具を選ばねばならなくなります。これは、寿命に関するひとつの概念です。
 次に、仕事の内容が変わることです。専ら名曲として通るクラシックの作品群は、弦は兎も角、つたなかった管楽器・打楽器のことを考え、各々の最も活きる性能域で作られています。でも音楽シーンはクラシックの焼き直しや真似ばかりで成り立ってはおりません。複雑な移転調を繰返し、各々の楽器の弱点音域に音を飛ばし、表現を成り立たせる現代曲を多数こなさねばならなくなった奏者は、現代的手法で研究された新しい楽器が必要になります。同じ属種でも幅広く楽器を揃える必要も出ます。クラシックでは滅多に必要とされないバスフルート、バスオーボエが要求されたり、オクタ−ブ以上の音階の跨ぎ越しを美しくこなせる性能がある楽器が必要になったり、おまけ程度で良かった低音を通常音域として扱えなければならなかったりと、奏者は出し物に翻弄され、楽器はそれに付き合わねばならなくなります。これも寿命感のひとつですが、これに関しては、仮令合奏を企図しない個人プレイヤーでさえ、欲求がここに至れば必要と感じる楽器の機能拡大でしょう。
 一般的に寿命の原因となるものがあるなら、それは畏怖でしょうか。学校を受験したり、競演等に参加するにあたり、急激に前述の変化に直面する、或いはその虞れがあると感じられた時、指導者から「グレードアップ」を求められたり、そうしなければいられなくなる気持になるでしょう。通常置かれざる環境に臨む時の心境としては、そうした臨戦意欲はむしろ大きな気休めにもなります。実は専ら、楽器の買い換えはこの気休めを求めて行われると考えられ、時として逆効果も生まれます。
そう見取られるには理由があります。中高生がクラブ活動で使うのに楽器を買う迄には、大抵の場合学校所蔵品を使っていた経緯がありますが、競演会等幾つか体験し気持が揺らぐのか自分の楽器を求めますが、これ大方自前のものを得て暫く経つと「罷めてしまう」例が際立ちます。学生さんは与えられた課題を如何に上手く成し遂げるかで習熟効果を量られることに慣れているもので、プレッシャーやストレスはむしろ日常なのです。毎日新たな畏怖に追われ乍らも次々と駆逐して成果を表わし採点されているのですが、反復することは殆どありません。それは学業が、前に習得したことを使いはするものの、同じことを繰返し同じ完成度を発揮し続ける必要は殆どなく進行する為に、達成はその時点でひと段落する心理が確立していて、それで当たり前の環境が学校というものです。学校と同じ環境は社会にはありません。社会では常に同じ仕事を同じ完成度で同じ時間内で提供することが求められるもので、何時迄も達成はありませんが、学生さんは何等かの達成が意欲低下の元となるようで、使い慣れた借り物から卒業するというある種の達成が、その後の向上へのエネルギーを削ぐ例です。多くの場合勿体無い程の高級品がそうして眠りにつき、やがて我々に売り付けられて来る様は残念そのものです。

 楽器はそう容易くは消耗しません。弦楽器のように使われ続ける限り果てしなく役割を負い続ける例もあります。管楽器や打楽器は、合奏上の定数が少ない事情から、シーンによってはアップデートが要求されるというもので、そうして現場から離れたものでも、違う現場では有用になり得ます。古い楽器の独特な響きが個性として活かせることもありますので、適材適所で楽しんで頂きたいものです。

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