:ライフル種目・ピストル射撃について:

.22口径ロングライフル実包を使用する競技用けん銃を用いる(リムファイヤー)種目が、フリーピストル50m男子(FP60)・スポーツピストル25m女子(SP60)・ラピッドファイヤーピストル25m男子(RFP60M)、大口径ピストル(大体.38口径)種目はセンターファイヤーピストル25m男子(CP60)、各々国内で行なわれる装薬ピストル競技です。
アメリカンルールのコンバットシューティング、ヨーロピアンルールのシルエット競技は日本では行なわれていません。

装薬ピストルには厳しい所持制限があり、日本全国で50名を上限とする当期最大の人数となっていますが、何時も欠員があります。優秀な選手を見い出した際に使用する枠として協会側で温存されているのです。選手の主な構成は殆どが役人(防衛関係と警察関係)であり、民間人は神奈川県立伊勢原射撃場が長期閉鎖となって以来急速に減少し現時点では8名、うちセンターファイヤー選手は1名となってしまっています。選手が首都圏周辺に集中してたんですね。「とっとと開けろよ」と思いたいところです。

銃器の保管に関しても特例となっており、装薬ピストルは自宅や保管施設での委託保管は出来ません。警察署の銃器庫にて集合管理され、練習や試合の都度預り受け、終了後は速やかに戻すのが決まりです。自分の資本を投じた自分のものでも、実際は人のもの同然なのです。よって所持銃による据銃練習さえ出来ません。
ただ、厳しい規準が防衛と警察の関係者には優遇されているという訳ではないのです。皆一様に、定められた規準を越すポイントを上げ、かつ決まりに則った選手権活動をしなければなりませんし、銃も自腹です(フリーピストル銃で40万円位)。それらの関係者は、射撃の修練に付いて身近であり、モチベーションが高い、ということなのです。当然ですがそれらを除く職種の人は職業上拳銃を必要としておらず、射撃の腕が業務上何かに役立つこともありません。要はそういう暮らし向きの違いを背景に持っているだけで、妬んでも始まりません。頑張らねばならないのは皆同じなのです。

ただ、結局普通の人にはないも同然のものなので、目指すだけ無駄です、と言い切ってしまいます。

ライフル競技は体育競技の中でも個人で参加することが主体であり競技自体相手が居ないという特異なもので、他にはアーチェリーがある程度ですが、参加者が一人であっても競技が成立する、至って運営し易いものです。ただ、そういうものごとは集団化し難いだけに、練習や試合に使う場所を設けるのが大層難しくなります。特に射撃競技はその場所が公安の認可を受けられる機能性能を満たしておらねばならず、原っぱなら何でも良いとはいきません。横須賀のライフル射撃協会を例に取れば、兎に角施設がなければ選手が育たないということで大層な苦労をして昔の海軍の駐屯地跡の防空壕を利用して空気銃の射撃場を設営しました。ただこれは横須賀ばかりではなくかなり広い範囲の地域の選手や愛好家に大きな安堵と可能性を提供しています。横浜など300万の人口を擁してい乍らそんな施設さえありませんから、遠路横須賀迄出て来る人が多いのです。射撃場は確かに所持許可という壁を越えた人だけが利用する特殊な場所かも知れませんが、射撃場があるところなら実績ばかりでなく練習時間も取り易く、結果として意欲が生まれ、少しづつでも重ねる人が必ず現れます。ライフル種目は大口径でなければそれ程お金は掛かりませんし、集まらねば練習にならないものでもなく、長く続けられるスポーツです。もっと切っ掛け作りと継続に役立つ施設の設置に意欲を燃やして頂きたいと思います。


なお、レア競技の道具は、国際射撃連盟の都合で突然「大改訂」されることがあります。
競技者はそれを享けて、否応なく、複雑な手続を伴う買い換えを遅滞なく、新ルール適用迄に済ませ、新しい道具に合わせて練習を始めなければなりません。
最近では、2007年にラピッドファイヤーピストル競技の銃に使われる実包が、それまでの.22Shortから.22 Longrifleに変更されました。古い話ですが76年にバイアスロン競技銃が大口径銃から.22 Longrifleに変更されています。何れもフレーム自体を換えなければならない大変更で、銃の改修での対応は無理です。
大体は事前に伝えられるようですが、未確認・未決定情報ですから、選手は悩むでしょうね。値段も安くはないものですし。
突然無くなった競技もあります。国策なら、あんたの種目は今後無し!アイアイサ〜で済むでしょうが、市民レベルではそれまでの努力はどこへやら...です。
ここに上がっているピストル種目は、世界的に出場選手が少ない競技です。多くの国は国策的に養成して選手を用意しているものです。でも、中には日本のように、皆一所懸命努力して何とか食い込んでいる上に、極僅か乍ら一般市民が混じっている場合があります。
国策選手の道具は親方持ちです。市民は自腹です。可哀想です.....。